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しかし企業内での賃金決定に関しても、個人間の格差の拡大はともかく昇格や昇給にかかわる能力査定は比較的ゆるやかであって、多くの労働者−この時代には「社員」はすべて月給制になっており、ブルーカラーもふくめてサラリーマンとよばれてよいーは、やはり年齢や勤続とともに、それなりに順調に昇給したように思われる。
この時期にノンエリートーサラリーマンの多数が賃金、能力の開発と発揮、雇用をめぐる「ゼロサム」(誰かが勝った分だけ誰かが負ける)のサバイバル競争に追い込まれたわけではない。
そして高度経済成長下の企業の繁栄がもたらす支払能力の大きさもあって、日本の経営者もなお、その種の競争と選別の強行を控えるほどには寛容であった。
能力主義管理は、第1期にはいまだ年功制に内包されていたのである。
能力主義管理の第1期低成長時代の日本的経営1970年代後半、能力主義的な原則を年功制度の枠内でゆるやかに適用するという、それまでの経営管理の背景にあった経済環境は一変した。
まずオイルショックを直接の契機として、経済成長率が鈍化した。
それ以降引きつづく低成長時代に入ると、日本企業は輸出の増大に市場の活路を求めるけれども、鍛えぬかれた国際競争力が「集中豪雨」的な輸出を達成させると、今度はそれがブーメランのようにはねかえって円高傾向をもたらし、企業にいっそうの合理化とコストダウンを迫った。
70年代の輸出ドライヴ、80年代後半以降の大幅な円高、全期間を通じての企業間競争の激化それらすべてが、終身雇用制の枠をつき破らんばかりに日本型能力主義管理を強化させるのである。
その内容の検討に入るまえに、能力主義管理の強化とまさに相互補強の関係に立つ、この時期の日本企業による3つほどの経営戦略にかんたんにふれておかねばならない。
まず、なによりも注目すべきは、昭和40年代とははっきり異なる人員削減の志向である。
この人らはもちろん、オイルショック不況、円高不況、そして「バブル崩壊」後の平成不況に展開された雇用調整にその高波をみることができる。
はじめ二つの不況時には鉄鋼や造船や一般機械の製造現場での人員整理がドラスティックだった。
たとえば鉄鋼大手5社の計では、1978年から91年にかけて本工が6万1700人(45%)、社外工が1万6300人(14%)も減っている。
平成不況期には、人員合理化は電機と事務および管理部門にも及んだ。
しかしここで重要なことは、この第1期には、人べらしが「高波」のときのみならず、「少数精鋭」「減量経営」の名のもとに恒常化したことにほかならない。
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